断熱等級5は寒い?基準や等級6・7との体感の違いを解説

目次
山陰(鳥取・島根)で高性能な注文住宅を建てるならトコスホームへ
「断熱等級5の家は本当に暖かいのだろうか」「ZEH基準を満たしていても冬は寒いと聞いたことがある」。こうした不安を抱えながら家づくりを進めている方は少なくありません。
断熱等級5は2022年に新設された比較的新しい基準であり、2030年にはすべての新築住宅で義務化される予定です。しかし、実際には地域や住まい方によって「寒い」と感じるケースもあるのが現実です。
本記事では、断熱等級5の性能基準や新設された背景、そして上位等級である6・7との違いを詳しく解説します。
断熱等級5の基礎知識|新設の背景と今後の基準

断熱等級5は、日本が2050年までに目指す「カーボンニュートラル」実現に向けた取り組みの一環として、2022年4月に新たに設けられました。従来の最高等級であった等級4を上回る性能基準として位置づけられ、住宅の省エネ性能向上を促す重要な指標となっています。
断熱性能の評価には、主にUA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)という2つの数値が用いられます。UA値は建物全体からどれだけ熱が逃げやすいかを示す指標で、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。一方、ηAC値は夏場の日射熱がどれだけ室内に入りやすいかを示すもので、こちらも数値が小さいほど省エネ性能に優れています。
今後の住宅事情を見据えると、2025年4月からはすべての新築住宅で断熱等級4が義務化され、さらに2030年度以降は断熱等級5が最低基準となる見通しです。つまり、これから家を建てる方にとって、断熱等級5は「最低限クリアすべきライン」となりつつあります。
断熱等級5の具体的な性能基準
断熱等級5は、暖房を使用していない状態でも「室温が10℃を下回らない程度」の断熱性能を確保することを目標としています。これは従来の等級4と比べて室内温度の変化を抑え、冷暖房効率を高める設計となっています。
しかし、世界保健機関(WHO)は健康的な生活を送るために冬季の室温を最低18℃以上に保つことを強く勧告しており、この基準と比較すると、断熱等級5の「10℃を下回らない」という水準は決して十分とはいえません。特に寒冷地や高齢者、小さなお子様がいるご家庭では、より高い断熱性能が求められるでしょう。
また、断熱等級5といっても、日本全国で一律の基準が適用されるわけではありません。国は全国を1~8の地域区分に分けており、たとえば北海道(1地域)ではUA値0.4以下、東京23区(6地域)ではUA値0.6以下といったように、気候条件に応じて異なる基準が設定されています。同じ「等級5」でも、地域によって求められる性能レベルには差があることを理解しておく必要があります。
ZEH(ゼッチ)や長期優良住宅との関連性
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、太陽光発電などによる創エネルギーと省エネ設備の導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指す住宅です。このZEHの断熱基準として設定されているのが、まさに断熱等級5に相当する性能です。
同様に、長期優良住宅の認定を受けるための断熱基準も、2022年4月以降は断熱等級5相当が求められるようになりました。これらの制度は国が推進する省エネ住宅の枠組みであり、補助金や税制優遇の対象となるため、多くの方が目指す基準となっています。
ただし、ここで注意すべき点があります。ZEHや長期優良住宅の基準(等級5)は、あくまで「省エネ性能」を評価するものであり、「冬でも暖かく快適に過ごせる」ことを保証するものではありません。エネルギー収支がゼロになったとしても、実際の住み心地や室温の快適さは別問題です。特に寒冷地では、等級5の性能では暖房をつけていない部屋が冷え込み、室内の温度差が大きくなる可能性があることを認識しておきましょう。
断熱等級5が「寒い」と感じられる主な理由

断熱等級5は省エネ基準としては一定の水準を満たしているものの、実際に住んでみると「思ったより寒い」と感じる方がいるのも事実です。その理由は、断熱性能そのものの限界だけでなく、地域の気候条件や住宅の設計、さらには日本と欧米の住宅文化の違いにも関係しています。
特に北陸や北海道などの寒冷地・雪国では、断熱等級5の基準では冬の厳しい寒さに十分対応しきれないケースがあります。暖房を使用している部屋は快適でも、廊下や浴室、トイレなど暖房のない空間との温度差が大きくなりやすく、移動の際に寒さを感じることが少なくありません。
さらに、日本の住宅が歴史的に「夏を涼しく過ごす」ことを重視してきた背景もあり、欧米諸国と比べると断熱・気密性能が低い傾向にあります。こうした構造的な違いが、等級5でも「寒い」と感じられる一因となっているのです。
寒冷地における性能の限界
北陸地方や北海道のような寒冷地・雪国では、冬場の外気温が氷点下になることも珍しくありません。こうした地域において、断熱等級5の基準(たとえば北海道ではUA値0.4、北陸の多くがUA値0.5~0.6程度)では、暖房をつけていない部屋や廊下の温度が大幅に低下する可能性があります。
たとえば、リビングで暖房を使用して20℃前後に保たれていても、玄関や脱衣所、トイレといった空間は10℃前後、場合によってはそれ以下になることもあります。こうした室内温度差は、体感的な寒さを増幅させるだけでなく、健康面でもリスクをもたらします。
寒冷地で快適に暮らすためには、単に断熱等級5の基準をクリアするだけでなく、地域の気候特性を十分に考慮した性能選びが重要です。より高い断熱等級(等級6や7)を検討することで、家全体の温度を均一に保ち、真冬でもストレスのない住環境を実現できるでしょう。
想定される室温とヒートショックのリスク
断熱等級5の住宅では、暖房を使用していない部屋が冬場に10℃前後まで下がることが想定されます。この温度は、世界保健機関(WHO)が推奨する最低室温18℃を大きく下回る数値です。
特に問題となるのが、暖かいリビングから寒い浴室やトイレへ移動する際に生じる急激な温度変化です。この温度差により血圧が急上昇・急降下する現象を「ヒートショック」と呼び、心筋梗塞や脳卒中といった重大な健康被害を引き起こす原因となります。
ヒートショックのリスクは、高齢者や小さなお子様、持病のある方にとって特に深刻です。冬場の入浴中に意識を失うといった事故も少なくありません。断熱性能が不十分な住宅では、こうした健康リスクが高まるため、家族の安全を守るためにも、より高い断熱等級を選択することが望ましいでしょう。
欧米の住宅基準と性能差
日本の住宅が「夏を快適に過ごす」ことを重視してきた背景には、高温多湿な気候や伝統的な木造建築の特性があります。風通しを良くし、湿気を逃がすことが優先された結果、断熱性や気密性はあまり重視されてきませんでした。
一方、欧米の住宅は厳しい冬の寒さに対応するため、高い断熱性能と気密性を標準としています。家全体の温度差が少なく、暖房のない部屋でも快適に過ごせる設計が一般的です。そのため、ヒートショックによる死亡事故も日本に比べて大幅に少ないというデータもあります。
日本の断熱等級5は、世界基準で見るとまだ低い水準にあるのが現状です。特に寒冷地では、欧米並みの断熱性能を確保しなければ、真に快適で健康的な住環境を実現することは難しいでしょう。断熱性能の国際比較を知ることで、より高い基準を目指す必要性が見えてきます。
断熱等級5・6・7の違いを徹底比較

2022年10月には、断熱等級5に続いて上位等級である等級6と等級7が新たに設けられました。これにより、より高い断熱性能を目指す選択肢が増え、快適性や健康面、そして光熱費の削減効果においても大きな違いが生まれるようになりました。
等級が上がるにつれて、冬場の最低室温が高く保たれ、家全体の温度差が小さくなります。その結果、ヒートショックのリスクが軽減されるだけでなく、冷暖房の効率が向上し、長期的には光熱費の削減にもつながります。
ここでは、断熱等級5・6・7それぞれの性能基準や体感温度、さらに建築コストと光熱費のバランスについて、具体的なデータをもとに比較していきます。
関連記事:断熱等性能等級とは?住宅の等級による違いや調べ方を解説
UA値と省エネ基準(HEAT20)の比較
断熱等級5・6・7に相当するUA値の基準は、地域区分によって異なります。以下の表は、全国8つの地域区分別に、各等級で求められるUA値をまとめたものです。
断熱等級5・6・7の地域区分別UA値基準 [W/(㎡・K)]
| 地域区分 | 主な都市 | 断熱等級5 | 断熱等級6 | 断熱等級7 |
| 1地域 | 夕張等 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 2地域 | 札幌等 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 3地域 | 盛岡等 | 0.50 | 0.28 | 0.20 |
| 4地域 | 会津若松等 | 0.60 | 0.34 | 0.23 |
| 5地域 | 水戸等 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 6地域 | 東京等 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 7地域 | 熊本等 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 8地域 | 沖縄等 | — | — | — |
参考:国土交通省|省エネ性能に係るさらなる上位等級(戸建住宅の断熱等級6・7)の基準(評価方法)
断熱等級6は、民間団体「HEAT20」が提唱するG2基準に相当し、等級7はさらに厳しいG3基準に相当します。HEAT20は「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称で、国の基準を上回る高性能住宅の普及を目指して独自の基準を設けています。
等級5がZEH基準として省エネ性能の向上を目的としているのに対し、等級6・7は「冬でも暖かく快適に過ごせる」ことを重視した基準です。目指す断熱レベルが根本的に異なるため、体感できる快適性にも大きな差が生まれます。
関連記事:HEAT20とは?従来の断熱基準との違いや地域区分をわかりやすく解説
室温と快適性(体感)の比較
各断熱等級で想定される冬場の室内温度環境と体感の違いを、以下の表にまとめました。
断熱等級5・6・7の室内温度環境と体感の比較
| 断熱等級 | 冬場の室内温度環境の目安 | 体感温度が15℃未満となる割合 |
| 断熱等級5 | 1.2地域:概ね13℃を下回らない程度
3~7地域:概ね10℃を下回らない程度 |
1.2地域:3%程度
3地域:15%程度 4地域:約20%程度 5~7地域:15%程度 |
| 断熱等級6 | 1.2地域:概ね15℃を下回らない程度
3~7地域:概ね13℃を下回らない程度 |
1.2地域:2%程度
3地域:8%程度 4地域:約15%程度 5~7地域:10%程度 |
| 断熱等級7 | 1.2地域:概ね16℃を下回らない程度
3~6地域:概ね15℃を下回らない程度 7地域:概ね16℃を下回らない程度 |
1~3地域:2%未満
4地域:5%程度 5~7地域:2%未満 |
参考:一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会|冬期の性能水準の提案
断熱等級7レベルの住宅では、体感温度が15℃未満になる割合が2%未満と非常に低く、ほぼ一年を通して快適な温度環境を維持できます。冬でも薄着で過ごせるほど暖かく、廊下や浴室との温度差もほとんど感じられません。
一方、断熱等級5では暖房のない部屋が10℃前後まで下がることがあり、体感温度が15℃未満になる時間が全体の約20%を占めます。この差は数字以上に大きく、日常生活における快適性に直結します。
メリット・デメリット(建築コストと光熱費)
各断熱等級には、それぞれメリットとデメリットがあります。ここでは、建築コストと光熱費のバランスを中心に比較します。
【断熱等級5のメリット・デメリット】
断熱等級5の最大のメリットは、比較的安価な断熱材や設備でも基準を達成できるため、建築費用を抑えやすい点です。ZEH基準を満たすことで補助金の対象にもなり、初期投資を軽減できます。
しかし、寒冷地では冬場の寒さを感じやすく、暖房費がかさむ可能性があります。また、上位等級と比べると断熱性能が劣るため、長期的な光熱費削減効果も限定的です。
【断熱等級6・7のメリット・デメリット】
断熱等級6や7の住宅は、快適性が非常に高く、冬でも家全体が暖かく保たれます。暖房のない部屋との温度差が少ないため、ヒートショックのリスクも大幅に軽減されます。さらに、冷暖房効率が良いため、光熱費を大幅に削減できる点も大きなメリットです。
また、断熱等級6以上を基準とする「子育てグリーン住宅支援事業」などの補助金制度も活用できるため、経済的なサポートを受けながら高性能住宅を建てることが可能です。
一方、デメリットとしては、高性能な断熱材やトリプルガラス、樹脂サッシなどの採用により、建築費用が高くなる点が挙げられます。等級5から6への引き上げには50~100万円、等級6から7にはさらに100~200万円程度の追加費用が必要とされています。
ただし、初期費用が高くなる分、長期的には光熱費の削減により回収できるケースが多く、ライフサイクルコスト(建築から住み続ける間にかかる総費用)で考えると、高断熱住宅のほうが経済的に有利になります。
高性能住宅を実現する工務店の選び方

断熱等級5以上の高性能な家を建てるためには、使用する断熱材の種類や厚み、窓(サッシ)の性能、換気システムといった要素が重要になります。これらの技術をバランスよく組み合わせ、確実に施工できる工務店やハウスメーカーを選ぶことが、快適な住環境を実現する鍵となります。
特に注意すべきは、カタログ上のスペックだけでなく、実際の施工精度や現場での品質管理です。いくら優れた断熱材を使用しても、施工に隙間があれば性能は大きく低下してしまいます。信頼できる依頼先を見極めるためには、標準仕様の確認や施工実績のチェックが欠かせません。
関連記事:工務店のデメリットは?依頼時の注意点やメリット・ハウスメーカーとの違いも解説
UA値・C値の標準仕様を確認
依頼先の工務店が標準仕様として提供しているUA値(断熱性能)とC値(気密性能)を確認することは、性能の高い家づくりを実現するうえで非常に重要です。
UA値は断熱性能を示す指標ですが、実はそれだけでは十分ではありません。どれだけ高性能な断熱材を使用していても、施工時に隙間が生じてしまえば、外気が侵入して断熱効果が半減してしまいます。そこで重要になるのがC値(相当隙間面積)です。
C値は、建物全体の隙間の面積を床面積で割った数値で、単位はcm²/m²で表されます。数値が小さいほど気密性が高く、理想的にはC値1.0以下、さらに高性能を目指すなら0.5以下が望ましいとされています。
たとえば、トコスホームではUA値0.34、C値0.5±0.2を標準仕様としており、断熱等級6(HEAT20 G2レベル)を超える高い性能を実現しています。こうした具体的な数値を標準仕様として明示している工務店は、施工技術に自信を持っている証といえるでしょう。
断熱工法と窓・換気システムの仕様
高性能住宅を実現するためには、断熱工法の選択や窓の仕様、そして換気システムの性能も重要なポイントとなります。
断熱工法には、柱の間に断熱材を充填する「充填断熱工法」と、建物全体を外側から包み込む「外張断熱工法」があります。さらに、この両方を組み合わせた「ダブル断熱工法」を採用することで、より高い断熱性能を実現できます。ダブル断熱工法は、外気を遮断しながら室内の熱を逃がさない構造となるため、寒冷地でも安心です。
窓の性能も断熱性に大きく影響します。従来のアルミサッシや単板ガラスでは熱が逃げやすく、冬場は結露が発生しやすくなります。高性能住宅では、熱伝導率の低い樹脂サッシと、3枚のガラスで構成されるトリプルガラスを組み合わせることで、窓からの熱損失を最小限に抑えられます。
さらに、効率的な換気システムも欠かせません。特に第一種換気システムは、給気と排気の両方を機械で制御し、熱交換器を通じて外気を室温に近づけてから取り込むため、室温を保ちながら新鮮な空気を循環させることができます。高断熱住宅では、こうした換気システムを導入することで、快適性とエネルギー効率の両立が可能になります。
山陰(鳥取・島根)で高性能な注文住宅を建てるならトコスホームへ
本記事では、断熱等級5の性能基準や、上位等級である6・7との違い、そして高性能住宅を実現するための工務店選びのポイントについて解説してきました。断熱等級5は2030年に義務化される最低基準ですが、地域や住まい方によっては十分な快適性を得られない可能性があります。特に寒冷地や雪国では、より高い断熱性能が求められるでしょう。
山陰地方(鳥取・島根)は、冬の寒さが厳しく、雨や雪が多い気候が特徴です。こうした地域で快適に暮らすためには、単に断熱等級5をクリアするだけでなく、地域の気候特性を深く理解した家づくりが不可欠です。
トコスホームが提供する「山陰スタンダード」仕様は、UA値0.34、C値0.5±0.2、そして耐震等級3を標準としており、断熱等級6(HEAT20 G2レベル)を超える高性能住宅を実現しています。これは、山陰の厳しい冬でも家全体を暖かく保ち、光熱費を抑えながら快適に暮らせる性能です。
さらに、長期優良住宅の基準も満たしているため、補助金や税制優遇を活用しながら、経済的にも安心して家づくりを進めることができます。トコスホームは、山陰エリアで着工数No.1の実績を持つアート建工グループから生まれたブランドであり、地域に根ざした豊富なノウハウと確かな施工技術で、お客様の理想の住まいをサポートいたします。
山陰で高性能な注文住宅をお考えの方は、ぜひトコスホームへご相談ください。








