工務店のデメリットは?依頼時の注意点やメリット・ハウスメーカーとの違いも
目次
工務店で家を建てたいけれど、デメリットはあるのだろうか?」「ハウスメーカーと工務店、どちらを選ぶべきか迷っている」このような疑問は、家づくりを考え始めた多くの方が抱くものでしょう。工務店には魅力的なメリットがある一方で、知っておくべきデメリットも存在します。
この記事では、工務店で家を建てる際のデメリットを中心に、メリットやハウスメーカーとの違い、そして失敗しない工務店選びのポイントまで詳しく解説します。
工務店とは
工務店とは、主に戸建て住宅の建築を請け負う、地域に根差した建設会社のことです。設計から材料の手配、現場の施工管理まで、家づくりに関する一連の作業を担います。
工務店には大きく分けて3つの種類があります。
- 地域密着型:店舗のある市や町を中心に、比較的小規模なエリアで活動します。大工が設計から施工まで管理したり、家族で経営していたりするなど、形態はさまざまです。
- フランチャイズ加盟店:本部が開発した工法や規格、資材を使って家を建てます。本部による一括仕入れでコストを抑えやすいのが特徴です。
- 中堅ビルダー:地域密着型でありながら、施工エリアが比較的広く、近隣の県に支店を持つこともあります。モデルハウスを持つなど、営業にも力を入れている場合があります。
ハウスメーカーと異なり、工務店は特定の地域で活動し、顧客の要望に柔軟に応えながら家づくりを進めるのが一般的です。広告宣伝費を抑える傾向があるため、比較的コストを抑えやすい点も選ばれる理由の一つです。依頼の流れとしては、情報収集、相談・見学、見積もり、契約、着工、完成・引き渡しとなります。
工務店で家を建てる際の5つのデメリット
工務店での家づくりには多くのメリットがありますが、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。ここでは、主な5つのデメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
施工品質にばらつきが生じる可能性
工務店を選ぶ際のデメリットとして、施工品質にばらつきが生じる可能性が挙げられます。ハウスメーカーでは、資材を工場で加工し、施工マニュアルを完備しているため、品質が均一化されやすいのが特徴です。一方、工務店の場合は、一般工法で工事を進めることが多く、技術力は抱えている職人の腕に左右される傾向があります。
この技術力の差が、そのまま住宅の品質に直結してしまうことがあります。そのため、工務店を選ぶ際には、担当者の対応はもちろん、過去の施工実績や利用者の口コミなどを入念にチェックし、信頼できる技術力を持っているかを見極めることが重要です。
経営規模の小ささによる倒産リスク
ハウスメーカーと比較して経営規模が小さい工務店は、倒産のリスクがあることも理解しておく必要があります。地域密着型で細々と経営しているケースや、家族経営の場合も少なくありません。近年では、ウッドショックによる資材高騰や人材不足などの影響で、中小工務店の倒産数が増加傾向にあるという現実もあります。
万が一、建築中や引き渡し後に工務店が倒産してしまうと、工事がストップしたり、前払い金が戻ってこなかったり、アフターサービスが受けられなくなったりといった深刻な問題が発生する可能性があります。このようなリスクを避けるためには、工務店の経営状況を見極めるとともに、「住宅完成保証制度」に加入しているかを確認することが不可欠です。
打ち合わせと工期が長くなる傾向
工務店での家づくりは、打ち合わせに時間がかかり、工期も長くなる傾向があります。ハウスメーカーが多くの場合、規格化された住宅商品の中からプランを選ぶのに対し、工務店では施主の要望に合わせて一から設計していくためです。
間取りやデザイン、仕様などを細かく決めていくプロセスは、こだわりを実現できる反面、多くの打ち合わせ時間が必要です。また、ハウスメーカーが部材の工場生産を進めているのに対し、工務店は現場での作業が多くなるため、その分工期も長くなりがちです。入居希望日などが決まっている場合は、スケジュールに余裕を持った計画を立てることが求められます。
完成イメージをつかみにくい現実
工務店の多くは、ハウスメーカーのように住宅展示場にモデルハウスを持っていません。そのため、完成後の住宅を具体的にイメージするのが難しいというデメリットがあります。過去の施工事例の写真などが主な判断材料となる場合も少なくありません。
しかし、最近では完成見学会や、実際に建てた人の家を訪問するOB宅見学会などを開催する工務店も増えています。これらの機会を積極的に活用することで、工務店の特色や実際の仕上がりを確認し、完成後のイメージギャップを減らすことができます。気になる工務店が見つかったら、こうしたイベントに参加してみるのがおすすめです。
将来的なメンテナンス費用の懸念点
工務店は設計の自由度が高い反面、それが将来的なメンテナンス費用につながる可能性も考慮する必要があります。ハウスメーカーのように規格化された商品を使っていない場合、建物の形状が独特であったり、特別な設備を導入したりすることがあります。
こうした汎用性のない設計や設備は、修理や交換が必要になった際に、部品の入手が難しかったり、特殊な技術が必要になったりして、メンテナンス費用がかさむケースがあるでしょう。設計段階で、将来的なメンテナンスについても工務店に相談し、アドバイスをもらうことが大切です。もしアドバイスがない場合は、自ら質問し、長期的な視点で費用を把握しておくことが後悔しないためのポイントです。
工務店で注文住宅を建てるメリット
デメリットがある一方で、工務店にはハウスメーカーにはない独自のメリットも数多く存在します。ここでは、工務店で家を建てる主なメリットについて解説します。
自由度の高いプランと設計ができる魅力
工務店の最大のメリットは、プランの自由度が非常に高いことです。ハウスメーカーでは、あらかじめ用意された商品や規格の中から選ぶのが一般的ですが、工務店では施主の要望に合わせて間取りやデザイン、仕様などを一緒に作り上げていきます。
木造で大きな吹き抜けを作りたい、数寄屋造りのようなこだわりのある家にしたいといった、ハウスメーカーでは実現が難しいような要望にも、工務店なら構造的な工夫や施工の知恵で応えてくれる可能性があります。まさに「自分の家をつくる」という感覚で、理想の住まいを追求できるのが大きな魅力です。
コストを抑えながら高品質な家づくりが可能
比較的価格を抑えやすい点も、工務店のメリットです。工務店はハウスメーカーに比べて、大規模な広告宣伝費や運営に関わる人件費が少ない傾向にあります。その結果、住宅そのものにかかる費用以外のコストが削減され、建築費用も安くなることが多いのです。
つまり、同じ予算であれば、ハウスメーカーよりも建物本体により多くのお金をかけることができ、結果として質の高い家づくりが期待できます。広告費や経費を抑えることで、自由設計でありながらもコストパフォーマンスの高い家づくりを実現できる可能性があります。
地域特性を熟知した家づくりの強み
地域に根差して活動する工務店ならではの強みとして、その地域の特性や風土、環境を熟知している点が挙げられます。気候(雨や雪の多さ、日照時間など)や地盤の強さ、過去の水害経験といった情報は、長く快適に暮らせる家を建てる上で重要です。
工務店は、こうした地域の特性を考慮した設計や仕様を提案してくれることが期待できます。たとえば、山陰地方のように雨や雪が多い地域であれば、それに適した屋根材や深い軒、室内干しスペースなどを提案してくれるでしょう。全国展開するハウスメーカーでは対応が難しい、きめ細かな地域対応が可能な点は大きなメリットです。
きめ細やかなサポートとアフターフォロー
地域密着型の工務店は、地元での評判や信頼が経営に直結するため、トラブル対応やアフターサポートに力を入れていることが多いです。何か問題があった際には、スピーディーかつ柔軟に対応してもらえる可能性が高いでしょう。
また、自宅から近い工務店であれば、建築後の修理やリフォームの相談もしやすいというメリットがあります。担当者が変わることが少なく、社長や職人と直接話せる機会も多いため、信頼関係を築きやすく、長期にわたって安心して住まいを任せられるパートナーとなり得ます。
工務店で家を建てるのに適した施主の特徴
工務店での家づくりは、誰にでも向いているわけではありません。以下のような特徴を持つ人は、工務店との相性が良く、満足度の高い家づくりを実現しやすいでしょう。
- 性能にこだわりたい人:耐震性や断熱性など、住宅性能に妥協したくない人。工務店は仕様の自由度が高いため、ハウスメーカーの規格を超える高性能な家を目指すことも可能です。
- デザインや間取りに独自のこだわりがある人:自由設計のメリットを最大限に活かし、自分だけのオリジナリティあふれる家を建てたい人。
- じっくり時間をかけて家づくりを楽しみたい人:情報収集や打ち合わせに時間をかけることを苦にせず、家づくりのプロセスそのものを楽しみたい人。
- 地域性を重視する人:その土地の気候や風土に合った家づくりを望む人。
- きめ細かな対応や長期的な関係を求める人:担当者と密にコミュニケーションを取り、建築後も気軽に相談できる関係を築きたい人。
これらの特徴に当てはまる方は、工務店を家づくりのパートナーとして検討する価値が大いにあると言えます。
ハウスメーカーと工務店の違い
家づくりを検討する際、多くの人がハウスメーカーと工務店で迷います。両者は業務内容に大きな違いはありませんが、会社の規模や施工エリア、得意とする家づくりなどに違いがあります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った選択をすることが重要です。
比較項目 | ハウスメーカー | 工務店 |
経営規模 | 大規模で全国展開が基本 | 比較的小規模で地域密着型が多い |
施工エリア | 全国各地に営業拠点・展示場があり広範囲 | 主に地元の市町村や県内など限定的 |
品質・技術 | ・規格化・マニュアル化により均一な品質を確保
・工場生産による品質管理が徹底 |
・職人の技量に左右される面がある
・店舗によって品質にばらつきがある |
工期 | ・部材の工場生産により短い(約3〜4ヶ月)
・システム化・効率化された施工管理 |
・現場での作業が多く長い(約6ヶ月)
・一から材料を加工するため時間がかかる |
コスト | ・広告費・展示場費用などが建築費に上乗せ
・規格化による材料費の削減はあるが総額は高め |
・広告費が少なく人件費も抑えられる
・同等の家で比較すると総額は安くなる傾向 |
設計の自由度 | ・あらかじめ用意されたプランからの選択が基本
・規格商品をベースにした制約がある |
・施主の希望に合わせた自由な設計が可能
・オリジナリティの高い家づくりができる |
アフターサービス | ・標準化・マニュアル化されたサポート体制
・長期保証が充実している傾向 |
・店舗による差が大きい
・地域密着型で迅速な対応が期待できる店舗も |
地域特性への対応 | 全国共通の仕様が基本だが地域別の対応も | 地域の気候・風土を熟知した家づくりが強み |
営業・接客 | ・営業担当者が対応し、組織的なサポート
・担当者の転勤などで変わる可能性もある |
・社長や職人が直接対応することも多い
・顔の見える関係性で細かな要望に対応 |
経営規模と施工エリア
ハウスメーカーは全国に支店を持ち、大規模に事業を展開しています。一方、工務店は特定の地域に密着し、比較的小規模なエリアで活動するのが一般的です。工務店は、本社から1~2時間圏内を施工エリアとすることが多く、そのため気に入った工務店があっても遠方だと依頼できない場合があります。
品質の安定性と工期における特徴
ハウスメーカーは、部材の多くを工場で生産し、施工マニュアルを整備することで、均一で安定した品質を提供します。また、工場生産により現場作業が減るため、工期が比較的短いのが特徴です。対して工務店は、現場での手作業が多く、職人の技術力によって品質が左右される可能性があります。そのため、工期も長くなる傾向があります。
広告戦略とコストバランス
ハウスメーカーは、テレビCMや住宅展示場への出展など、積極的に広告宣伝活動を行っています。これらの広告費は、当然ながら住宅の価格に反映されるため、工務店に比べてコストが高くなる一因となります。工務店は広告費を抑える傾向があり、その分コストパフォーマンスに優れた家づくりが期待できますが、知名度が低く情報収集に手間がかかる場合があります。
アフターサービスの内容
ハウスメーカーは、30年や60年といった長期保証制度など、体系化されたアフターサービスを提供していることが多いです。組織的なサポート体制が整っていますが、担当者が変わったり、対応に時間がかかったりする可能性もあります。工務店のアフターサービスは会社によって異なりますが、地域密着型であるため、迅速で柔軟な対応や、気軽に相談できる関係性が期待できます。
失敗しない工務店選びのポイントと依頼方法
信頼できる工務店と出会うことは、満足のいく家づくりを実現するための最も重要なステップです。ここでは、失敗しないための工務店選びのポイントと、依頼する際の注意点について解説します。
工務店の選び方については以下の記事でも解説しています。
信頼できる工務店を見極めるチェック項目
良い工務店を見つけるためには、以下の5つのポイントをチェックすることが重要です。
- 着工件数は豊富か:新築住宅の施工実績がどのくらいあるかを確認しましょう。リフォームがメインの工務店もあるため、年間何棟の新築を手がけているかは重要な指標です。
- 評判は良いか:情報が少ない工務店の場合、口コミや評判が重要な判断材料になります。知り合いに利用者がいれば直接話を聞くのが一番ですが、ネットの書き込みなども参考にしましょう。
- 社長や社員の人柄はどうか:小規模な工務店ほど、社長や社員の人柄が会社の雰囲気を左右します。誠実な対応か、コミュニケーションは円滑かなどを、相談や見学会などを通して確認しましょう。
- 資格保有者の人数は多いか:一級・二級建築士や施工管理技士などの資格は、技術力を示す一つの指標です。資格保有者が多いほど、安心して任せられる可能性が高まります。ホームページなどで確認しましょう。
- 住宅完成保証制度へ加入しているか:倒産リスクに備え、住宅完成保証制度に加入しているかは必ず確認しましょう。
依頼前に確認すべき契約と保証の内容
工務店に依頼する前には、契約内容や保証条件をしっかりと確認することが不可欠です。特に、発注方式には注意が必要です。設計と工事を一つの工務店に任せる「一括発注方式」と、設計事務所と工務店にそれぞれ依頼する「分離発注方式」があります。多くは一括発注方式ですが、それぞれのメリット・デメリットを理解し、場合によっては第三者によるホームインスペクションの導入も検討しましょう。
また、アフターサービスの保証期間や対象範囲も工務店によって異なるため、契約前に詳細を確認し、納得できる内容かを見極めることが重要です。
適切な時期と方法で見積もりを依頼するコツ
工務店を選ぶ際には、1社だけでなく、2~3社程度に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。ただし、比較するためには、各社に同じ希望条件を伝える必要があります。事前に、間取りや仕様、設備などの希望をできるだけ具体的にまとめておきましょう。見積もり金額だけで判断せず、提案内容や担当者の対応、これまでの情報収集で得た情報などを総合的に判断して、最も信頼できる工務店を選びましょう。
住宅完成保証制度の重要性と確認方法
前述の通り、工務店の倒産リスクに備えるために「住宅完成保証制度」への加入確認は重要です。この制度は、工務店が倒産した場合でも、最小限の追加負担で住宅を完成できるようサポートするものです。工事の引き継ぎや、増嵩工事費用、前払い金の一部が保証されます。工務店の倒産が増加傾向にある近年、この制度への加入は、施主にとって大きな安心材料となります。必ず加入の有無とその内容を確認してください。
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工務店には、品質のばらつきや倒産リスク、工期の長さといったデメリットがある一方で、自由度の高い設計、コストパフォーマンス、地域特性への理解、きめ細かなサポートといった、ハウスメーカーにはない魅力があります。デメリットを正しく理解し、信頼できる工務店を選ぶことができれば、きっと満足のいく家づくりが実現できるでしょう。
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