シューズクロークに扉は必要?メリットや後悔しないためのポイントを解説
新築やリフォームを検討する際、玄関まわりの収納として注目されているシューズクロークは、扉の有無で使い勝手や印象が大きく変わります。靴だけでなく、コートや傘、アウトドア用品まで収納できる便利なスペースですが、「扉は本当に必要なのか」と悩む方も少なくないでしょう。
この記事では、シューズクロークの扉の必要性について、メリット・デメリットを比較しながら解説します。また、扉のタイプ別の特徴や、後悔しないシューズクロークづくりのポイントについても詳しく説明します。理想の玄関収納を実現するための一助として、ぜひご活用ください。
シューズクロークに扉は必要?
シューズクロークは、玄関横に設けられた、靴を履いたまま出入りできる収納スペースのことで、「土間収納」とも呼ばれます。単なる下駄箱(シューズボックス)とは異なり、靴以外にもさまざまなアイテムを収納できるのが特徴です。たとえば、ベビーカーや子どもの外遊び用おもちゃ、コート類、掃除用具などを収納できます。雨の多い山陰地方などでは、濡れた傘やレインコートを乾かしたり、一時的に保管したりするスペースとしても重宝されるでしょう。
このように多機能なシューズクロークですが、「扉を付けるかどうか」は多くの方が悩むポイントです。扉があれば中が見えず玄関がすっきりしますが、開閉の手間やコストがかかります。扉がないと物の出し入れは楽ですが、収納物が丸見えになり、整理整頓への意識が必要になるでしょう。
近年、特にコロナ禍を経て、衛生面への関心が高まりました。外からのホコリや汚れ、ウイルスなどを家の中に持ち込まないために、シューズクロークでコート類も一緒に脱いで収納したいというニーズが増えたことも、シューズクローク自体の人気、そして扉の必要性についての議論を後押ししています。玄関周りの見た目の美しさと、日々の生活における機能性のバランスをどう取るかが、扉の有無を決定する上での重要な視点となります。
扉ありと扉なしのメリット・デメリット
シューズクロークの扉について考える際、扉がある「クローズタイプ」と、扉がない「オープンタイプ」それぞれの利点と欠点を理解することが大切です。以下の表にそれぞれの主なメリット・デメリットをまとめました。
種類 | メリット | デメリット |
扉あり(クローズタイプ) | ・収納内部が見えず、玄関がすっきり片付いた印象になる
・急な来客時でも生活感を隠せる ・靴の臭いや湿気、ホコリが玄関に広がりにくい ・収納物を汚れや日焼けから守りやすい |
・物の出し入れの際に扉を開閉する手間がかかる
・扉の設置にコストがかかる ・湿気や臭いがこもりやすい(換気対策が必要) ・扉の開閉スペースが必要になる場合がある ・狭い玄関だと圧迫感を感じることがある |
扉なし(オープンタイプ) | ・扉の開閉がなく、物の出し入れがスムーズ
・扉がない分、コストを抑えられる ・圧迫感が少なく、開放的な空間になる ・湿気や臭いがこもりにくい ・「見せる収納」として、おしゃれに演出しやすい |
・収納物が常に目に入るため、整理整頓されていないと雑然とした印象になる
・来客時に収納内部が丸見えになる ・靴の臭いやホコリが玄関に広がりやすい可能性がある |
たとえば、クローズタイプは、収納内部が散らかっていても扉を閉めれば隠せるため、急な来客が多いご家庭や、整理整頓にあまり自信がない方には安心感があります。一方で、オープンタイプは、両手がふさがっている買い物帰りや、ベビーカーを押しながらでもスムーズに出入りできる利便性が魅力です。ただし、常に「見られている」ことを意識し、きれいに保つ工夫が求められるでしょう。
ライフスタイルに合わせた選択方法
シューズクロークに扉が必要かどうかは、家族構成やライフスタイルによっても異なります。
整理整頓が得意で、常にきれいな状態を保てる方は、オープンタイプでも問題ないかもしれません。むしろ、お気に入りの靴や小物をディスプレイする「見せる収納」を楽しめるでしょう。逆に、片付けが苦手な方や、忙しくてなかなか整理整頓まで手が回らないという方は、クローズタイプを選んで扉で隠せるようにしておくと、負担が少ないかもしれません。
シューズクロークへの出入りの頻度も考慮すべき点です。たとえばお子さんの外遊び道具や自転車などを頻繁に出し入れするといった場合は、扉の開け閉めがないオープンタイプの方がストレスなく使える可能性があります。一方、シーズンオフの靴やアウトドア用品など、たまにしか使わないものを主に収納するのであれば、クローズタイプでも不便は感じにくいでしょう。
来客の頻度や、玄関周りのプライバシーをどれだけ重視するかも判断基準になります。来客が多いご家庭や、玄関先での対応(宅配便の受け取りなど)で収納内部を見られたくないと考える方は、クローズタイプが適しています。オープンタイプを選ぶ場合でも、完全に開放的にするのではなく、ロールスクリーンやカーテン、デザイン性の高いのれんなどを設置することで、必要に応じて目隠しをする工夫も可能です。これにより、普段は開放的に使いつつ、来客時などには生活感を隠すことができます。
シューズクロークの扉の種類と特徴
シューズクロークに扉を設置すると決めた場合、どのような種類の扉があるのでしょうか。扉の種類によって、開閉方法、必要なスペース、デザイン、そしてコストなどが異なります。代表的な扉の種類として、以下の3つが挙げられます。
- 引き戸タイプ
- 折れ戸タイプ
- ロールスクリーンタイプ
それぞれの特徴を理解し、ご自宅の玄関スペースや使い方に合ったものを選びましょう。以降では、各タイプについて詳しく解説していきます。
引き戸タイプ
引き戸は、扉を横にスライドさせて開閉するタイプです。
このタイプの最大のメリットは、開閉時に扉が手前に出てこないため、省スペースで設置できる点です。玄関が狭い場合や、シューズクロークの前にあまりスペースがない場合でも、動線を妨げにくいのが魅力といえるでしょう。デザインや素材のバリエーションも豊富で、玄関の雰囲気に合わせて選びやすいのも利点です。モダンな印象にも、和風な印象にも合わせられます。
設置する際の注意点としては、扉を引き込むためのスペース(壁)が必要になることです。壁の内部に引き込むタイプと、壁の前に引き出すタイプがあります。また、床にレールが必要な場合と、上から吊るすタイプ(上吊り式)があり、上吊り式の場合は床面がすっきりします。狭い玄関でも設置しやすい点が強調されますが、扉の幅と同じだけの引き込みスペースを確保できるか、事前に確認することが重要です。
折れ戸タイプ
折れ戸は、扉が中央部分、あるいは複数箇所で折れ曲がりながら開くタイプです。クローゼットの扉としてよく見られます。
このタイプのメリットは、開口部を広く取れることです。扉を全開にすると、収納スペース全体を見渡しやすく、大きな荷物の出し入れもしやすいでしょう。収納物の確認がしやすい点も利点です。
一方で、設置にあたっては注意が必要です。扉が折れ曲がりながら手前に開くため、開閉時に扉の厚み分のスペースが必要になります。シューズクロークの前に十分なスペースがないと、開閉時に邪魔になったり、人が通りにくくなったりする可能性があります。設置を検討する際は、扉を開けたときの軌道や必要なスペースを考慮し、玄関全体のレイアウトとの兼ね合いを考える必要があるでしょう。
ロールスクリーンタイプ
ロールスクリーンは、布製のスクリーンを上下に巻き上げて開閉するタイプです。厳密には「扉」ではありませんが、シューズクロークの目隠しとしてよく用いられます。
ロールスクリーンのメリットは、まず軽量で設置が比較的容易な点です。通常の扉と比較してコストを抑えられる場合が多いのも魅力といえます。開閉もスムーズで、上部に巻き取るため開けたときに邪魔にならず、圧迫感が少ないのも特徴です。さまざまな色や柄を選べるため、インテリアのアクセントにもなるでしょう。
設置する際の注意点としては、布製であるため、通常の扉ほどの防音性や密閉性はないことです。したがって、臭いを完全に遮断する効果は限定的と考えられます。また、耐久性の面では、頻繁な開閉や汚れによって、扉よりも劣化が早い可能性があります。目隠しとしての機能は果たしますが、臭い対策や防音性を重視する場合は、他のタイプの扉を検討する方が良いかもしれません。
後悔しないシューズクロークづくりのポイント
シューズクロークは便利な収納スペースですが、計画段階でいくつか注意しておきたい点があります。せっかく設けたのに使いにくい、あるいは期待していたほど活用できていないといった後悔をしないために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- ウォークインとウォークスルーの違いを理解する
- 換気と臭い対策を徹底する
- 配置と間取りは収納効率を考慮する
- 扉のデザインで玄関の印象をアップさせる
これらの点を踏まえて計画を進めることで、より満足度の高いシューズクロークを実現できるはずです。
ウォークインとウォークスルーの違いを理解する
シューズクロークには、大きく分けて「ウォークインタイプ」と「ウォークスルータイプ」の2種類があります。この2つの違いは、出入り口の数と動線です。
ウォークインタイプは、出入り口が一つの収納スペースです。玄関横に小部屋を作るイメージで、壁の三面を収納棚として活用できるため、同じ面積であればウォークスルータイプよりも収納量を多く確保しやすいのがメリットです。ただし、シューズクローク内で靴を脱いだ場合、来た方向に戻って玄関に出る必要があり、その際に履く玄関用スリッパなどで玄関が散らかる可能性も考慮する必要があります。また、行き止まりの空間になるため、奥にしまった物が取り出しにくくならないよう、特にベビーカーなどの大きな物の収納場所は慎重に計画する必要があります。
一方、ウォークスルータイプは、出入り口が2つあり、通り抜けができる構造です。たとえば、玄関からシューズクロークに入り、そのまま靴を脱いで廊下やホールへ抜けられます。この動線の良さが最大のメリットで、帰宅時にコートや荷物をしまい、靴を脱いでスムーズに室内に入ることができます。また、出入り口を分けることで、家族用と来客用の動線を分離することも可能です。来客時は玄関から直接ホールへ、家族はシューズクロークを通って室内へ、という使い分けができ、玄関を常にきれいに保ちやすくなります。このため、「家族用玄関(ファミリー玄関)」としての役割も果たします。デメリットとしては、通路スペースが必要になるため、ウォークインタイプに比べて収納スペースが少なくなる傾向があること、そして設置にある程度の広さが必要になる点が挙げられます。
どちらのタイプが適しているかは、家族構成やライフスタイル、住宅全体の動線や間取りによって異なります。収納量を重視するならウォークイン、動線のスムーズさや玄関の整頓しやすさを重視するならウォークスルーを検討すると良いでしょう。
換気と臭い対策を徹底する
シューズクロークは靴を収納するスペースであるため、湿気や臭いがこもりやすいという課題があります。特に扉を設けるクローズタイプの場合は、空気が滞留しやすいため、換気対策が非常に重要です。
扉ありの場合の換気方法としては、小窓を設置して自然換気を行えるようにするか、換気扇を設置するのが効果的です。最近では、シューズクロークやウォークインクローゼット専用の小型換気扇も登場しています。換気扇の設置には電源や配線工事が必要になるため、新築時に計画しておくのがスムーズですが、後付けが可能な場合もあります。ただし、後付けの場合は壁や天井の工事が必要になることもあるため、事前に確認が必要です。
扉なしのオープンタイプの場合は、クローズタイプに比べて通気性は良いですが、それでも臭いが気になることはあります。こまめな掃除はもちろん、市販の消臭剤や除湿剤を活用すると良いでしょう。炭や重曹なども臭い対策として利用できます。
湿気対策としては、扉の有無にかかわらず、定期的に収納物を出して掃除をしたり、空気の入れ換えをしたりすることが基本です。除湿剤を置くのも有効な手段です。濡れた靴や傘をそのまましまい込まず、ある程度乾かしてから収納することも湿気やカビの防止につながります。
配置と間取りは収納効率を考慮する
シューズクロークを最大限に活用するためには、どこに配置し、どのような間取りにするかが重要です。収納効率を高めるためには、まず「何を」「どれくらい」収納したいのかを具体的にリストアップすることから始めましょう。
ベビーカーやゴルフバッグ、アウトドア用品など、大きな荷物を収納する場合は、その出し入れのしやすさを考慮した配置がポイントです。玄関からシューズクロークへの入口の幅や、内部での取り回しに必要なスペースを確保しておく必要があります。棚の奥行きや高さも、収納したい物に合わせて計画することが大切です。可動棚にしておくと、収納物が変わった場合にも柔軟に対応できます。
収納物の種類や量に応じて、適切なスペースを確保することも重要です。一般的に、玄関スペースも含めて3帖(約5平方メートル)程度の広さがあれば、ある程度の収納量を確保しつつ、人が入って作業するスペースにも余裕ができるとされています。ただし、これはあくまで目安であり、収納したい物の量や種類によって必要な広さは変わってきます。
玄関からの動線も考慮しましょう。帰宅してすぐにコートを掛けたい、買い物袋を一時的に置きたいなど、想定される使い方に合わせて、スムーズにアクセスできるレイアウトを心掛けることが大切です。特にウォークインタイプのような行き止まりのある空間では、頻繁に出し入れする物を手前に、あまり使わない物を奥に配置するなど、収納場所を工夫することで使いやすさが向上します。
扉のデザインで玄関の印象をアップさせる
シューズクロークに扉を設ける場合、そのデザインは玄関全体の印象を大きく左右する要素となります。扉は単なる目隠しではなく、インテリアの一部として捉えることで、玄関空間をより魅力的に演出できます。
扉の色や素材を選ぶ際は、玄関ホールやドア、床材、壁紙など、周辺のデザインとの調和を考えることが大切です。たとえば、壁の色と扉の色を合わせると、扉の存在感が和らぎ、空間に一体感が生まれて広く感じられる効果があります。逆に、アクセントカラーとなるような色を選んだり、質感のある木目調の扉を選んだりすることで、デザインのポイントにすることも可能です。明るい色の木目などは、空間全体を明るく見せる効果も期待できます。
スタイリッシュな印象を与えたい場合は、シンプルなデザインの扉や、取っ手などの金物部分を隠したフラットなデザインなどが考えられます。ガラスやミラーを部分的に使用したデザインは、空間に広がりや明るさをもたらすこともあります。
シューズクロークの扉は、思いのほか面積が大きくなることもあるため、そのデザイン選びは慎重に行いたいものです。機能性だけでなく、デザイン性にもこだわることで、毎日使う玄関がより快適で心地よい空間になるでしょう。
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この記事では、シューズクロークの扉の必要性について、メリット・デメリット、種類、そして後悔しないためのポイントを解説してきました。扉あり(クローズタイプ)は玄関をすっきり見せ、臭いやホコリを防ぐ利点がありますが、開閉の手間やコスト、換気への配慮が必要です。一方、扉なし(オープンタイプ)は出し入れがスムーズで開放感がありますが、整理整頓への意識と、場合によっては目隠しの工夫が求められます。
最終的にどちらを選ぶかは、ご自身のライフスタイルや価値観、そして家全体のデザインとのバランスで決めることが大切です。
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