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断熱等級5は寒い?後悔しないための基準と等級6・7との違いを解説

「断熱等級5の家は冬に寒いのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。断熱等級5は、UA値とηAC値で評価する住宅の外皮(屋根・外壁・床・窓など)の性能基準であり、冬の室温を一定以上に保つことを保証するものではありません。そのため、等級5を満たしていても、地域や気密性、窓、日射、暖房の使い方などによって寒さの感じ方は変わります。
2025年4月から新築住宅には省エネ基準への適合が義務付けられ、国土交通省は遅くとも2030年までに基準をZEH・ZEB水準へ引き上げる予定としています。この記事では、断熱等級4・5・6・7の違いに加え、C値(気密性能)や断熱材、窓、エアコンなど、寒さを考える際に確認したいポイントを解説します。
目次
断熱等級5とは?UA値・地域区分・ZEHとの関係

断熱等級5は、住宅性能表示制度で定められた断熱等性能等級の1つです。屋根や外壁、床、窓などの外皮性能を評価する基準で、実際の室温や体感温度を直接保証するものではありません。判定にはUA値とηAC値が用いられ、基準値は地域区分によって異なります。ここでは、ZEH水準や長期優良住宅、2030年に向けた省エネ基準の引き上げとの関係も確認します。
参考:国土交通省|断熱性能
UA値・ηAC値と地域区分
断熱等級5は、「室温10℃以上」のように室温を直接定める基準ではありません。UA値(外皮平均熱貫流率)は住宅内部から外へ逃げる熱量を外皮面積で平均した指標で、数値が小さいほど熱が逃げにくくなります。ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)は、冷房期に日射熱がどの程度室内へ入るかを示す指標です。
国土交通省の基準では、断熱等級5のUA値の上限は、1・2地域が0.40、3地域が0.50、4~7地域が0.60です。8地域にはUA値の基準がなく、ηAC値などの基準で評価されます。地域区分は市区町村ごとに定められているため、建築予定地の区分を確認しておきましょう。
参考:国土交通省|断熱性能
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
関連記事:断熱等性能等級とは?住宅の等級による違いや調べ方を解説
ZEH・長期優良住宅・2030年基準との関係
ZEH水準省エネ住宅は、断熱等性能等級5以上に加えて一次エネルギー消費量等級6以上が要件です。長期優良住宅の省エネルギー性についても、断熱等性能等級5・一次エネルギー消費量等級6が基準となっています。断熱等級5だけを満たせばZEH水準住宅や長期優良住宅になるわけではありません。
2025年4月以降に着工する新築住宅には省エネ基準への適合が義務付けられています。国土交通省は、遅くとも2030年までに省エネ基準をZEH・ZEB水準へ引き上げる予定としているため、「2030年に断熱等級5だけが義務化される」と捉えるのは正確ではありません。断熱性能と設備の省エネ性能の両方が引き上げられる方向です。
関連記事:ZEH住宅とは?メリット・デメリットや補助金が出る条件をわかりやすく解説
断熱等級5が「寒い」と感じられる主な理由

断熱等級5を満たしていても、冬の室温や体感は住宅ごとに異なります。外気温、日射、気密性、窓、間取り、暖房方法などが影響するためです。「等級5だから寒い」「等級5なら暖かい」と一律には判断できません。主な要因を分けて確認しましょう。
地域・外気温・日射条件による違い
同じ断熱等級5でも、UA値の基準は地域区分によって異なります。1・2地域は0.40以下、3地域は0.50以下、4~7地域は0.60以下です。同じ等級でも、地域の気候条件に応じて求められる外皮性能が異なります。
暖房負荷は、外気温だけでなく窓から得られる日射にも左右されます。南側の窓から冬の日射を取り込みやすい敷地と、周辺建物の影で日射が入りにくい敷地では、同じ断熱性能でも室内環境が変わります。
地域区分に加え、敷地の日当たりや周辺環境も含めて設計者と確認しましょう。
参考:国土交通省|断熱性能
冬の室温・体感の目安
冬の室温を考える参考として、HEAT20が示す住宅シナリオがあります。HEAT20のG1では、所定の暖房条件のもとで、暖房期の最低室温が1・2地域で概ね13℃、3~7地域で概ね10℃を下回らないことを目標としています。これは実際の住宅でその室温を保証するものではなく、一定の条件で算出したシナリオです。
HEAT20が示す「15℃未満の割合」も、住宅内の温度環境を評価するための指標で、単純に「1日のうち何%の時間が15℃未満か」を示すものではありません。
国土交通省が公表した調査では、部屋間の温度差が大きい住宅や床付近の室温が低い住宅で、居住者の血圧が有意に高い傾向が確認されています。ただし、調査結果から因果関係そのものが確定したわけではありません。
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
参考:国土交通省|住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?調査結果から得られつつある「新たな知見」について報告します
気密性・窓・間取りの影響
断熱等性能等級では、C値(相当隙間面積)は評価項目に含まれません。断熱性能が高くても、隙間が多ければ漏気による熱損失が生じます。また、窓の性能や配置、玄関と居室のつながり方、吹き抜けなども暖房の効き方に影響します。
「断熱等級5なのに寒い」と感じる場合は、設計上のUA値だけでなく、C値の実測結果、窓の仕様、暖房する範囲、暖房設備の能力などを確認してください。原因を断熱性能だけに限定せず、気密・開口部・設備を分けて確認することが重要です。
断熱等級4・5・6・7の違いを比較

断熱等級4~7を比較する際は、法令上のUA値・ηAC値の基準と、HEAT20の住宅シナリオを分けて考える必要があります。HEAT20のG1~G3は断熱等性能等級と同一の制度ではなく、地域によってUA値も一致しません。冬の室温環境だけでなく、夏の日射対策、建築費、光熱費、補助制度も含めて検討しましょう。
UA値・ηAC値と地域別の基準を比較
断熱等級4~7のUA値の上限を地域区分別にまとめると、等級5は1・2地域が0.40、3地域が0.50、4~7地域が0.60です。等級が上がるほど、より小さいUA値が求められます。
断熱等級4・5・6・7の地域区分別UA値基準 [W/(㎡・K)]
| 地域区分 | 主な都市 | 断熱等級4 | 断熱等級5 | 断熱等級6 | 断熱等級7 |
| 1地域 | 夕張等 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 2地域 | 札幌等 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 3地域 | 盛岡等 | 0.56 | 0.50 | 0.28 | 0.20 |
| 4地域 | 会津若松等 | 0.75 | 0.60 | 0.34 | 0.23 |
| 5地域 | 水戸等 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 6地域 | 東京等 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 7地域 | 熊本等 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
| 8地域 | 沖縄等 | — | — | — | — |
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
断熱等性能等級は、UA値だけでなくηAC値など各地域の基準を満たす必要があります。たとえばUA値が等級6の基準に達していても、ηAC値が等級6の基準を満たさなければ、等級6とは評価されません。
HEAT20のG1~G3で示されるUA値は、住宅シナリオを実現するための目安であり、品確法の断熱等性能等級とは別の基準です。たとえば6地域では、断熱等級5のUA値基準が0.60である一方、HEAT20のG1水準の目安は0.56です。数値を比べる際は、どの制度の基準かを確認してください。
関連記事:HEAT20とは?従来の断熱基準との違いや地域区分をわかりやすく解説
冬の室温・体感の目安を比較
HEAT20のG1・G2・G3が示す冬期の住宅シナリオを整理した表です。断熱等性能等級とは別の基準であり、G1=断熱等級5、G2=断熱等級6、G3=断熱等級7と一対一で対応するものではありません。
HEAT20 G1・G2・G3の冬期温熱環境シナリオ(断熱等級との概ねの対応)
| HEAT20水準(品確法との概ねの対応) | 冬場の室内温度環境の目安 | 住宅内で15℃未満となる部分の割合(面積比) |
| G1(概ね断熱等級5) | 1・2地域:概ね13℃を下回らない程度 3~7地域:概ね10℃を下回らない程度 |
1・2地域:3%程度 3地域:15%程度 4地域:約20%程度 5~7地域:15%程度 |
| G2(概ね断熱等級6) | 1・2地域:概ね15℃を下回らない程度 3~7地域:概ね13℃を下回らない程度 |
1・2地域:2%程度 3地域:8%程度 4地域:約15%程度 5~7地域:10%程度 |
| G3(概ね断熱等級7) | 1・2地域:概ね16℃を下回らない程度 3~6地域:概ね15℃を下回らない程度 7地域:概ね16℃を下回らない程度 |
1~3地域:2%未満 4地域:5%程度 5~7地域:2%未満 |
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
表の暖房期最低室温は、地域ごとに設定された暖房条件を前提とする住宅シナリオです。実際の室温は、地域、日射、気密性、間取り、暖房の運転方法などによって変わります。
「15℃未満の割合」は、住宅内の温度環境を面積比などで評価する指標です。6地域の住宅シナリオでは、G1が15%程度、G2が10%程度、G3が2%未満とされており、G1からG3へ性能水準が上がるほど低温となる範囲が小さくなります。
参考:一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会|住宅シナリオと外皮性能水準
夏の暑さ・日射対策を比較
夏の室内環境はUA値だけでは決まりません。ηAC値に加え、窓の方位や大きさ、庇(ひさし)や外付けシェードなどによる日射遮蔽が影響します。
国土交通省の設計ガイドでは、高断熱住宅では室内に入った熱が逃げにくいため、季節や方位、時間に応じた日射調整が必要としています。南面では軒・庇やスクリーンなどを活用し、東西面では低い角度から入る日射への対策を検討します。
冬の日射取得と夏の日射遮蔽を両立できるよう、窓の配置と日射対策を計画しましょう。
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
建築コスト・光熱費・補助制度を比較
等級5から6へ上げる費用は、地域、住宅規模、断熱材や窓の仕様、施工方法などによって異なるため、一律には示せません。光熱費の差も、居住人数や設定温度、エネルギー単価などに左右されます。比較する場合は、同じ間取り・条件で等級別の見積もりや暖冷房負荷を確認しましょう。
2026年9月時点の「みらいエコ住宅2026事業」では、注文住宅の新築について、GX志向型住宅は地域区分に応じて110万~125万円、長期優良住宅は75万~80万円、ZEH水準住宅は35万~40万円が基本額です。長期優良住宅・ZEH水準住宅は子育て世帯または若者夫婦世帯が対象です。ZEH水準住宅の注文住宅は、交付申請が遅くとも2026年9月30日までとされています。予算上限に達すると受付が終わるため、最新の状況を公式サイトで確認してください。
参考:国土交通省・経済産業省・環境省|住宅省エネ2026キャンペーンについて〖新築〗
断熱等級5で後悔しないために確認したいポイント

断熱等級5で後悔を避けるには、等級の数字だけで暖かさを判断しないことが重要です。断熱材、窓と日射、気密性、暖冷房設備を合わせて確認しましょう。依頼先には、UA値、C値の測定有無、断熱材と窓の仕様、暖冷房負荷を踏まえた設備計画を確認してください。
断熱材の種類・厚みを確認する
「断熱等級5なら断熱材は何mm」と一律には決められません。必要な厚みは、断熱材の熱性能、施工部位、工法、地域区分などによって変わります。
グラスウール、押出法ポリスチレンフォーム、セルロースファイバーなどは、同じ厚みでも熱性能や施工方法が異なります。断熱材の種類と厚みだけを比較するのではなく、屋根・壁・床・窓を含めた住宅全体の外皮性能で確認する必要があります。
採用する断熱仕様で、住宅全体のUA値が目標とする等級を満たすか確認しましょう。
参考:国土交通省|断熱性能
C値と気密測定の有無を確認する
C値は、住宅全体の隙間面積を延べ床面積で割った値で、数値が小さいほど気密性が高いことを示します。断熱等性能等級の判定項目ではなく、国が一律の基準値を定めている指標でもありません。
国土交通省の設計ガイドでは、気密性能の法定基準はないとしたうえで、HEAT20が目指す気密性能の目安としてC値0.7±0.2cm²/m²を紹介しています。C値は設計計算ではなく、気密測定によって確認します。
依頼先には、気密測定を実施するか、どの段階で測定するか、測定結果を確認できるかを聞いておきましょう。
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
窓・サッシと日射対策を確認する
窓は外壁や屋根より熱の出入りが大きく、冬の日射取得にも関わります。サッシやガラスの性能だけでなく、窓の方位・大きさと、庇や外付けシェードなどの日射対策を合わせて確認しましょう。
国土交通省の設計ガイドでは、冬の日射取得と夏の日射遮蔽の両方を考えて窓を計画する必要があるとしています。日射遮蔽性能だけを高めると冬の日射取得も減るため、地域や方位に応じた選択が必要です。
「断熱等級5なら樹脂サッシとトリプルガラスが必須」とは限りません。地域区分と住宅全体のUA値・ηAC値を踏まえて仕様を選びましょう。
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
エアコンの選び方を確認する
国土交通省の設計ガイドでは、エアコンの「畳数の目安」は断熱性の低い住宅を想定しているため、高断熱住宅にそのまま当てはめるとオーバースペックになるとしています。高断熱住宅では、暖冷房負荷を計算したうえで能力を選ぶことが重要です。
エアコンの能力は、外皮や換気による熱損失、外気温と室温の差、日射、間取りなどを踏まえた暖冷房負荷に合わせて選びます。
「断熱等級5ならエアコン1台で全館を暖められる」とは限りません。部屋のつながりや空気の流れ、ドアの開閉、必要な暖房能力まで含めて計画してください。
参考:国土交通省|省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド
山陰で断熱性能にこだわる注文住宅ならトコスホームへ
断熱等級5で寒さを感じるかどうかは、等級だけでは決まりません。山陰で家づくりをする場合も、UA値やC値、窓と日射、暖冷房計画まで具体的に確認する必要があります。
トコスホームは、モデルハウスの断熱性能・気密性能を公式サイトで公開しています。現在のモデルハウス・プランでは、断熱等級6、UA値0.34、C値0.5±0.2などの性能を掲げ、実際に建てる住宅と同程度の性能で設計しています。
断熱性能や暖冷房計画を検討する際は、数値だけでなく、モデルハウスで室内環境や間取りも確認してみてください。
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